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「親権」の概要
「親権」とは、平たくいえば、子どもと同居して日常の世話をしたり、教育したり、子どもの財産を管理するために、その父母に認められる権利及び義務をいいます。「親権」の内容は大きく次の2つに分けられます。
子の財産についての権利義務(「財産管理権」)
全般的に子どもの財産を管理する権利義務のほか、子の財産に関する契約などの法律行為を子どもの代理として行う権利義務をいいます。(民法第824条)
離婚する夫婦に未成熟の子がいる場合はその子の「親権者」を夫婦のどちらにするかを決める必要があります。
「親権者」について夫婦が合意ができない場合、例えば、他の全ての事項について合意が成立していても親権者が決まるまでは「離婚」は成立しません。
「親権者」に指定に関する協議が成立しない場合は最終的に裁判所が「親権者」を指定します。裁判所が「親権者」を決定する判断基準として、①従前の主たる監護者は夫婦のいずれか(裁判所は監護の継続性を重視します)、②父母の事情(監護の意欲、親権者としての適格性、経済状況、健康状態、監護補助者の存在等)、③子どもの事情(年齢、発育状況、環境の変化を受ける度合い等)、④子どもの意思(子どもの年齢が高いほど重視されます)、⑤原則として兄弟姉妹の分離を避けること、⑥「面会交流」の許容性等があります。ただし、経済状況については、適切な金額の「養育費」の支払いにより比較的容易に調整が可能であることから重視するべきでないという意見も多くあります。
日本は現在のところ「単独親権制度」を採用していますので、「離婚」する場合には必ず夫婦のどちらかが単独で「親権者」となり他方は「親権」を喪失することになります。しかし、令和6年5月17日、「民法等の一部を改正する法律」(令和6年法律第33号)が成立し「共同親権」制度が導入されることとなりました。成立した法文によれば、夫婦の「離婚」時に協議により「共同親権」とするか「単独親権」とするかを指定するとあります。協議が成立しない場合には、裁判所が子の利益の観点から「共同親権」とするか「単独親権」とするか(その場合はどちらを「単独親権者」とするか)を指定することとなっています。この「共同親権」制度は2026年までに施行される予定です。
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