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離婚・婚姻破綻と在留資格
Divorce & Visa

 【ケース・スタディ10 離婚・婚姻破綻と「在留資格」】 

 日本国籍の夫B男とイギリス国籍の妻ジェーンは日本で結婚し既に20年東京に住んでいます。残念ながら考え方や生活習慣の違いのためジェーンはB男との「離婚」を希望し、B男と別居して「離婚協議」を進めています。日本人同士の「離婚」と同様に「離婚」、「婚姻費用の分担」、「財産分与」、「慰謝料・解決金」、「子の監護(親権、共同親権)」、「面会交流権」の問題もさることながら、「在留資格」「日本人の配偶者等」で日本に滞在しているイギリス国籍の妻ジェーンは「離婚」と同時に「在留資格」を失いイギリスに帰国しなければならないのでしょうか。

 最近では国際結婚は何ら珍しいものではなく、結果として国際離婚のご相談・ご依頼も増加しています。日本人同士の離婚手続きおける様々な検討事項に加えて、国際離婚の場面では外国人配偶者の「在留資格」の変更が問題となります。

 「日本人の配偶者等」

  •  日本人の配偶者
  •  日本人の特別養子
  •  日本人の子として出生した者

 婚姻の実体

 イギリス国籍の妻ジェーンが在留資格「日本人の配偶者等」に該当するためには日本国籍の夫B男との婚姻が(内縁関係ではなく日英両国で)有効に成立している必要がありますので、仮に、日本国籍の夫B男が逝去した場合、B男と別居している場合、B男と「離婚」した場合などのように婚姻の実体がなくなって(配偶者の身分を有する者としての活動を行わなくなって)6か月以上が経過すると「日本人の配偶者等」の「在留資格」を取り消されてしまいます。但し、「正当な理由」がある場合を除くとされています。 (入管法第22条の4第1項第7号)

 既に、イギリス国籍の妻ジェーンは「離婚」を念頭にB男と別居しているわけですから、「婚姻が有効に成立」していても婚姻の実体はなくなっている(ジェーンはB男の配偶者としての活動をしていない)といえます。もっとも出入国在留管理局は、裁判所に「離婚調停」または「離婚訴訟」が係属中である場合は「正当な理由」に該当するとして「在留資格」の取消しを行わない事例に該当するとしています

 たとえば、「離婚調停」係属中に「日本人の配偶者等」の資格更新時期を迎えた場合、ジェーンは東京出入国在留管理局に対して「離婚調停」を申し立てていていること等の事情を説明するため、「離婚事件係属証明書」、「離婚調停申立書(写し)」、離婚調停手続代理人弁護士による「申告書」などの客観的な立証資料を添えて、「正当な理由」があることを主張し「日本人の配偶者等」の「在留期間更新許可申請」を提出する方法が考えられます。

 しかし、この「正当な理由」による「日本人の配偶者等」の「在留期間更新許可申請」は問題の先送りともいえます。ジェーンが「離婚」後も安定して日本に居住し続けることを願うなら「日本人の配偶者等」の「在留資格」から他の「在留資格」への「在留資格変更許可申請」を提出して許可を得る必要があります。

 「在留資格変更許可申請」

 実際に「離婚」が成立するのを待ってそれから14日以内に東京出入国在留管理局に対して「在留資格変更許可申請」を提出すれば問題ないとお考えの方もいらっしゃるかもしれません。(入管法第19条の16第3号)

 しかし、「離婚協議」も「離婚調停」も夫・妻の双方が合意しなければ成立しません。「離婚調停」が不成立の場合いずれかが「離婚訴訟」を提起すれば今度は「離婚調停」ではなく訴訟事件として裁判所に係属することになります。(「離婚調停」から「離婚訴訟」に自動的に移行することはありません。)

 一審判決が下されてもいずれかが控訴すれば今度は控訴審に進み、更に控訴審判決が下されてもいずかが上告審まで争えば、最終的に「離婚」が成立するまで長期間を要する場合もあります。なかには2~3年経っても「離婚」が成立しないケースもあります。

 日本国籍の夫B男とイギリス国籍の妻ジェーンが別居して配偶者としての活動をしなくなってから「在留資格変更許可申請」の提出が遅くなるほど、東京出入国在留管理局は「イギリス国籍の妻ジェーンの『日本人の配偶者』としての「在留資格」該当性は実体として喪失しているな。在留状況は不良と言わざるを得ない。これから提出される『在留資格変更許可申請』は許可できないな。」と判断する可能性が高まります。

 イギリス国籍の妻ジェーンはB男との「離婚」に向けた手続(協議・調停・訴訟等)を進め日本人の配偶者としての活動を行っていない状態なのですから、努めて早期に実体に則した「在留資格変更許可申請」を提出して適切な「在留資格」を取得するべきでしょう。

 「在留資格」「定住者」

 「定住者」とは法務大臣が特別な理由を考慮して一定の在留期間を指定して居住を認める者です。 (入管法「別表第2」)

 「定住者」の活動内容には制限がありませんので、就学、就労も可能ですが、在留期限がありますので更新が必要です。

 また、「定住者」には法務大臣があらかじめ政令で定めた「定住者告示」と政令に定めのない「告示外定住」があります。「告示外定住」は個々に活動内容について判断し「在留資格」が認められます。

 「離婚」などの場合の「告示外定住」

 日本国籍の夫B男との「離婚」を念頭にギリス国籍の妻ジェーンにはいったいどの様な「在留資格」への「在留資格変更許可申請」を検討すべきでしょうか。外国人(元)配偶者に対しては3つの「告示外定住」が許可される場合があります。

  •  婚姻後3年以上同居していた(いわゆる「離婚定住」)
  •  婚姻後の同居期間は3年に満たないものの夫のドメスティック・バイオレンス(DV)被害にあっていた(いわゆる「婚姻破綻定住」)
  •  日本人配偶者との間に生まれた未成年の子(日本人)の「親権」があり現に「養育監護」している(いわゆる「日本人実子扶養定住」)

 「離婚定住」、「婚姻破綻性定住」及び「日本人実子扶養定住」のいずれへの「在留資格変更許可申請書」を提出する場合も、結婚から「離婚」(別居)に至る経緯・理由・事情を丁寧に「申請理由書」に記載することが大切です。

 「離婚調停」や「離婚審判」において裁判所調査官により詳細な事実関係の調査が行われるのと同様に、「告示外定住」への「在留資格変更資格申請」においても出入国在留管理局による当事者(日本国籍の夫B男とイギリス国籍の妻ジェーン)等に対する婚姻の実体や子の「養育監護」の状況に関する詳細な調査が行われることをご承知ください。

 

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代表弁護士ごあいさつ

洲桃(すもも)麻由子
  • 弁護士
  • ニューヨーク州弁護士
  • 税理士
  • 行政書士
  • 登録政治資金監査人
  • 東京出入国在留管理局長承認取次者
  • 賃貸不動産経営管理士
  • 1級ファイナンシャル・プランニング技能士

 ご依頼者のご心情に寄り添う対応を心がけています。先ずはお気軽にご相談ください。