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すもも法律事務所

洲桃麻由子税理士事務所
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海外にある財産
Overseas Estate

 1990年代の「バブル期」にニューヨークやロサンゼルスに賃貸物件を取得した方、新型コロナ・ウイルス感染拡大の終息後から進む円安を念頭に為替リスクの回避や不動産の減価償却による所得税控除を期待してハワイに賃貸物件を取得した方など、海外に資産を保有する方も多くいらっしゃいます。

 その他にも、メーカーや商社などの企業にお勤めの方で、海外赴任時の貯蓄を現地の預金口座に残している方、米国のスタート・アップ企業の株式を米国の証券会社口座に保有している方など、当事務所にご相談をお寄せになる方が多くいらっしゃいます。

 最近では、日本に永住する外国籍の方で本国に不動産を複数保有している方、証券口座を保有している方、本国に401K等の積立年金口座を保有している方などからのご相談・ご依頼も著しく増加しています。

 「租税条約

 日本にお住まいの方が外国に資産を有していたり、外国にお住まいで日本内外に財産を有する日本人の方が亡くなって「相続」が発生した場合は、日本と外国の双方で「相続税」が課税されるのかという問題を考慮する必要があります。

 日本が当該外国との間で「租税条約」を締結していれば国際的二重課税の問題(複数の国において同じ課税物件について課税を受けること)を避けることが可能です。

 「租税条約」とは国と国との間で課税権を調整する内容の条約で二重課税の回避や脱法の防止などを目的として締結されるものです。「租税条約」は国と国との取決めですので内容は条約の相手方となる国によって異なることに注意が必要です。

 一例を挙げると、日本に居住する日本人で米国に賃貸不動産をお持ちであった方が亡くなり「相続」が発生した場合、日本の「相続税」は全世界にある財産について課税されますので米国内の賃貸不動産も日本の「相続税」の課税対象となります。

 他方、米国の「連邦遺産税」は米国市民でない者の「相続」についても米国内にある財産について課税されます。ここで、米国内にある賃貸不動産について二重課税の問題が生じます。しかし、日米間には「相続」に関して二重課税を避けるための条約として「日・米相続税条約」が締結されています。「連邦遺産税」は「基礎控除額」が日本よりはるかに大きく設定されておりアメリカ市民の場合は1,361万ドル(令和6年7月15日現在のレートで21億円以上です。「日・米租税条約」により日本国民に対しては1,361万ドル×(アメリカ国内にある「相続財産」の価額)÷(世界全体にある「相続財産」の価額)の「基礎控除額」が適用されることになっています。なお、「連邦遺産税」とは別に「州遺産税」が適用される州もあります。「州遺産税」の内容や適用条件は州によって異なりますのでご注意下さい。

 「準拠法」 

 「相続財産」となる財産(の一部)が日本国外にある場合はまず「準拠法」について考慮する必要があります。「準拠法」についての考え方は大きく「相続統一主義」と「相続分割主義」に分かれます。

 「相続統一主義」とは「相続財産」の種類や所在地にかかわらずすべての「相続財産」に統一して特定の国の法を適用する考え方です。「相続統一主義」は更に「被相続人」の国籍を基準とする「本国法主義」と「被相続人」の住所地を基準とする「住所地法主義」に分類されます。

 他方、「相続分割主義」は「相続財産」の種類ごとに適用される「準拠法」を定める考え方です。実際上は「相続財産」を動産と不動産に分け動産は「被相続人」の国籍法又は住所地法、不動産は不動産の所在地法とする国が多いようです。

 日本においては「法の適用に関する通則法」(平成18年法第78号、以下「通則法」)がいずれの国の法律を適用するかを定めます。「通則法」第36条は「相続は被相続人の本国法による。」と規定しており、日本国籍を有する方が国外に財産を残して亡くなった場合は国外にある財産も含めて日本法が適用されることになります。その方が亡くなった当時日本に居住していたか否かは問いません。

 「通則法」第36条によれば、ドイツ国籍者で日本に長年住んでいた「被相続人」が日本国内及びドイツ国内に財産を残して亡くなった場合に適用されるのはドイツの「相続法」ということになります。この場合、「相続人」が日本にいて日本の裁判所で「遺産分割調停」を行う場合でも適用されるのはドイツ法です。

 「遺言の方式」

 「相続」に関する実体法は「通則法」第36条に基づき定められますが「遺言の方式」には別の法律が適用されます。

 「遺言の方式の準拠法に関する法律」(昭和39年法第100号、以下「遺言方式準拠法」)は「遺言の方式」について、①行為地法、②「遺言者」が「遺言」の成立又は死亡の当時国籍を有した国の法、③「遺言者」が「遺言」の成立又は死亡の当時住所を有した地の法、④「遺言者」が「遺言」の成立又は死亡の当時常居所を有した地の法、⑤不動産に関する遺言についてその不動産の所在地法のいずれかに適合するときは、方式に関し有効とすると定めています。(遺言方式準拠法第2条各号)

 例えば、日本法では「遺言の方式」は「自筆証書遺言」、「公正証書遺言」、「秘密証書遺言」のいずれかの方式を備えていなければ有効な「遺言」になりません。(細部は後述の「遺言書の作成」を参照してください。)

 しかし、企業内転勤でドイツに居住している日本人が、ドイツ国内でドイツの法律に照らして有効な方式により「遺言」を作成したとします。その「遺言」は日本法における「自筆証書遺言」、「公正証書遺言」、「秘密証書遺言」のいずれの方式も備えていなくても、「遺言方式準拠法」第2条第1号、第3号又は第4号により日本においても有効な方式の「遺言」となります。

 なお、この場合の「遺言」の内容に関する実体的な問題、たとえば、その「遺言」がある「相続人」の「遺留分」を侵害するか否かなどは遺言者の本国法である日本法によって判断されます。

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代表弁護士ごあいさつ

洲桃(すもも)麻由子
  • 弁護士
  • ニューヨーク州弁護士
  • 税理士
  • 行政書士
  • 登録政治資金監査人
  • 東京出入国在留管理局長承認取次者
  • 賃貸不動産経営管理士
  • 1級ファイナンシャル・プランニング技能士

 ご依頼者のご心情に寄り添う対応を心がけています。先ずはお気軽にご相談ください。